「ふぅん…キッドキラーね」
教室で堂々と新聞を広げる黒羽快斗は少し眉間に皺をよせて呟いた。
正直、不愉快だ。
別に、彼がキッドキラーであるといわれることは特に気にしていない。彼は自分にとって特別な存在で、ライバルといえる人なのだから。
しかし、たとえ幼い体だと言っても、大衆の目に晒されてはこちらも気が気でない。
「こんな堂々と姿見せちゃっていいのかね」
ただでさえ、名探偵として有名な彼は日本中にファンがいる。幼い姿の今でさえあの容姿だ。これを機に目を付ける輩もいるかもしれない。いや、絶対いるはずだ。
――…本当は誰の目にも触れさせたくないのに…
今すぐにでも閉じ込めてしまいたいぐらいだ。そんなこと叶うはずはないけれど。
深くため息を吐くと、不機嫌さを隠すことなく新聞を閉じて窓の外を見た。
「…絶対に手に入れてやる」
そして二度と放さない。
怪盗キッドに盗めないものはないのだから……。
PR